筋力測定とトレーニングの総合システム
三菱電機運動療法システム ストレングスエルゴ

1.筋力測定機能について -筋力測定-
筋力測定にはアイソキネティックモードを使用しています。アイソキネティックモードでは、ペダルの回転速度が設定した回転速度より速くならないようトルクを制御します。このときの負荷トルクは、運動をしている人が発揮している筋力と同等であり、これによりぺダルをまわす力を知ることができ、これを筋力としています。
右図は、筋力測定時のグラフです。一回転内のペダル角度に対して、その角度におけるトルクと、回転速度が表示されます。ペダルが一回転する間に、左足と右足による2つのピークトルクが見られます。ペダル角度が 0゚~179゚までを左足、180゚~359゚までを右足と考えますから、1つめのピークが左足、2つめのピークは右足の一回転内の最大筋力を表しているといえます。
筋力測定結果で表示している値は測定回数の中でそれぞれ最も大きいピーク値を表示しています。
上の測定は左足に比べて右足が極端に弱いと判断できます。またグラフ表示の単位はトルク(N・m)ですが、足の筋力は上半身を支え、歩行するために使うものですから、歩行に十分な筋力を持っているかどうかは、単に筋力からではなく、その人の体重比で判断する事も有効とされています。 アウトカムレポートには左右比や、個人情報設定変更で体重を設定すると体重比も示されます。上の図は回転速度50r/minでの筋力測定ですが、回転速度や測定回数を変えて測定すること、またアシストをかけた状態で測定する事もできます。一般に高速回転設定で測定すると最大筋力は低くなりますから、トルク測定範囲を超えてしまうような人は設定速度を上げて測定する事により、また設定速度でペダルをこげないような方には設定速度を下げると測定できます。また、設定速度から5回転程度速度を下げ、アシスト設定した状態で測定する事により高体力者から超低体力者まで筋力測定を行う事が可能です。
[ストレングスエルゴ240の画面例]
2.筋力測定の手順について
健常者が本機を用いて筋力測定を行う場合の基本的な手順を示します。
被験者の状態などによっては必ずしもこの手順に従う必要はありませんが、正確な測定を行うためには正しい(毎回同じ)姿勢を取ること、準備体操を行うことが必要です。また前回測定データとの比較を行う場合には、できる限り同じ体調での測定が望まれますので、同時刻の測定を心がけてください。また測定前にコーヒーなどの刺激物の摂取は控えてください。
脚力評価に用いている統計の元になっているデータはこの手順に従って測定を行っています。
①ストレッチ運動 膝の屈伸運動をおこなう。 ふくらはぎ・アキレス腱のストレッチ、大腿部裏側のストレッチ、大腿部前面のストレッチを左右足についておこなう。 |
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②エルゴ乗車・姿勢調節 シートに深く着座し、背もたれ角度、シート前後位置を調節する。調節後、シートベルトを着用する。 |
調節する際の基準 背もたれ角度:目盛2の位置(座面との角度が110°) シート前後位置:右膝が一番伸びる状態で20°曲がる位置とする。ただし力は抜いてあること。 リフター位置:最下点(一番下) |
③ユーザ選択・設定操作 被験者がユーザ登録されている場合: ユーザ変更する。 ユーザ登録されていない場合: 新規ユーザ登録する。 (一時的な測定なら登録は不要) 運動モードで“筋力測定”を選択する。 この手順で基本としている測定回転速度は50r/minですが、被験者の状態に合わせて変更してください。この速度でペダリングできない場合には速度を下げ、トルクが240Nm以上になる場合には速度を上げてください。 |
![]() ユーザ変更・登録方法は取扱説明書50N-EY400001および簡易操作マニュアル50N-EY400023を参照のこと。 ![]() 測定回数を“5回”、回転速度を“50r/min”に設定する。 |
④試行1回目(練習) 測定姿勢を確認する。 試行1回目は練習とし、7割程度でペダルをこぐ。 “測定開始”ボタンをクリックし、スタートの合図と運動に合わせた掛け声をかける。 測定が終わったら“保存”ボタンをクリックし、必要ならデータをHDDに保存する。 |
両手はシート脇の手摺りを握り、両肘を伸ばす。両肩は背もたれに密着するようにする。 ![]() |
⑤休憩 シートベルトはそのままで身体を楽にし、1分間の休憩を取り、呼吸を整える。 |
このとき具合が悪くないか、脚に痛いところがないかを被験者に確認する。 |
⑥試行2回目(本測定) 測定姿勢を確認する 試行2回目は本測定とし、全力でペダルをこぐ。 “測定開始”ボタンをクリックし、スタートの合図と運動に合わせた掛け声をかける。 測定が終わり、必要に応じて“保存”ボタンをクリックし、データをHDDに保存する。また必要に応じて“印刷”ボタンをクリックし、結果をプリントアウトする。(保存しなければ結果データは失われます。) |
測定姿勢は1回目と同じとする。 ![]() 測定データの保存・印刷は取扱説明書50N-EY400001を参照のこと。 |
⑦終了 シートベルトを外し、エルゴから降車する。 |
注)測定データ保存のタイミングについて
詳細な測定データは、測定終了時の“筋力測定結果”画面でのみ、保存できます。 測定終了後、まず“保存”ボタンをクリックし測定データを保存すること。 保存せずに“戻る”ボタンをクリックしてしまうと、詳細な測定データは失われます。
3.ストレングスエルゴ240 筋力評価データについて
ストレングスエルゴ240筋力評価データは、名古屋大学整形外科教室長谷川幸治先生を主任研究員として北海道Y町で2000年から2005年に実施した住民健診で下肢筋力評価をまとめたデータになります。
平均的な体重比と年齢(参考)
評価の基準としている脚力体重比-年齢のグラフは通常の生活において支障ない男女あわせて約900名の実測定結果を元に作成しています。