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<広 報>

2008年7月28日

東京都千代田区九段北1−13−5
三菱電機エンジニアリング株式会社

2基体制で,需要が拡大するEMC規格適合試験への対応強化

EMC東日本センター(鎌倉市)に「10m法対応電波暗室」が完成

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  三菱電機エンジニアリング株式会社(本社:東京都千代田区,社長:尾形仁士)が「EMC東日本センター」(神奈川県鎌倉市)内に増設工事を行っていた,EMC※1(電磁環境適合性)規格適合試験を実施するための「10m法対応電波暗室」がこのたび完成しました。
  現有の10m法対応電波暗室とあわせて,2基体制による運営を8月25日より開始し,東日本地区で需要が拡大しているEMC規格適合試験に対応します。
  この電波暗室は,妨害電波を測定するため天井および壁に電波吸収体を貼付して,外部からの電磁波の侵入を防ぐと共に,内部で発生する電磁波の反射をなくした暗室で,被試験装置が発生する不要な電磁波を3mおよび10m※2離れた距離で測定することができます。
10m法対応電波暗室(鎌倉市)
背        景
  昨今のデジタル家電市場の急成長,携帯端末機器の普及,自動車・産業装置のコンピュータ制御化,市場のグローバル化などにより,世界各国でEMC・安全に対する法令化が進み,日本国内でもVCCI規制※3,電気用品安全法,薬事法の改正など,EMC規制の適用強化が進んでいます。
  これに伴い,電子機器に対しては,不要に放射する電磁波の抑制と,外部の電磁波に対して誤動作しない耐性が求められており,また製品を輸出する場合には出荷先の法規制に適合しているかどうかを確認・認証する必要があることから,電波暗室で行うEMC規格適合試験のニーズが高まっています。
 
建設の狙い

 

   当社は,全国4センター※4の電波暗室等を利用してEMC規格適合試験を行うだけではなく,製品開発コンサルティング・試験・対策支援・認証取得代行まで一連の業務を各センターで実現しています。
  東日本地区では,試験需要が増加してきており,従前から使用していた10m法対応電波暗室1基だけでは十分な対応ができなくなってきていました。そこで,10m法対応電波暗室を増設し2基体制とすることで,お客様へのサービスの充実を図るとともに拡大する市場ニーズにお応えします。
特        長
1.

中型機器までのEMC規格適合試験に最適

 
   暗室の大きさは,幅21.0m×奥行13.0m×高さ8.5mで,被測定器積載用のターンテーブルの直径は3m,積載質量は1トンで,中型機器までの試験に最適です。
2. イミュニティ試験室を併設
 
   10m法対応電波暗室の建物内に,「イミュニティ試験室」を併設しています。CEマーキング※5などで要求されるイミュニティ試験(製品が受ける電磁妨害への耐性試験)にも対応可能です。
3. iNARTE認定のエンジニアがサポート・多彩なサービスを提供
 
   製品開発に長年携わってきた,全世界で唯一のEMCエンジニア認定制度であるiNARTE認定※6のEMC/製品安全エンジニアがサポートします。これにより,CEマーキングへの対応支援,CISPR※7・VCCI※3・FCC※8など各種規格の認証取得代行,規格適合のための対策支援,輸出先国の規格調査,コンサルティング,サイト試験,出張試験など多彩なサービスを提供します。
 
報道機関からのお問い合わせ先
お問い合わせ先
三菱電機エンジニアリング株式会社 
総務人事部 総務グループ
電話 (03)3288-1101
その他特長
1. 地下ピットに大型の対向機が設置可能
 
   ターンテーブル下の地下ピット(5m×7m×2m)には,2m弱までの高さの対向機を設置可能です。例えば,プリンターの試験では,組み合わせて使用するパソコンを地下ピットに設置できます。
また,ターンテーブル回転時での給排水,エアー供給も完備しており産業用機器の試験に最適です。
今後の展開
  現在,欧州有資格機関(NB)※9に代行して,欧州連合(EU)の法的規制(EU指令)への適合試験を行うことができるEMC試験所として申請中です。認証された場合には,当センターの試験データでNBの適合性評価についての意見書が受けられることから,NBによる立会い試験が不要となるなど,試験日程の制約や試験コストが低減できます。また,VCCI※3,FCC※8の試験所としても登録申請中です。
10m法電波暗室の主な設備・仕様
項目

仕様

場所 神奈川県鎌倉市上町屋325番地
建物の概要

敷地面積:約1,100 u,建築面積:約600 u

1.適合試験 CISPR/FCC/VCCI/電安法 10m・3mに準拠した(放射・伝導)
エミッション測定
IEC61000-4-3に準拠した放射イミュニティ試験
2.サイズ
(シールド面)
電波暗室 21.0m(W)×13.0m(D)×8.5m (H)
計測室   4.5m(W)×4.5m(D)×3.0 m (H)
3.暗室入口扉 3.0m(W)×2.8m(H) 半自動スウイング式バリアフリー
4.ターンテーブル
(被測定器積載用)

直径3m 積載質量 1トン 給排水,エアー供給完備
回転速度 0.5〜3回転/分(7段階変速)

5.地下ピット 5.0m(W)×7.0m(D)×2.8m(H)
6.電源 2系統 (CVCF系/絶縁トランス系)
<CVCF系>
  単相AC 0〜300V 5〜1100Hz 6kVA
  三相AC 0〜519V 5〜1100Hz 12kVA
<絶縁トランス系>
  単相AC 0〜100V 50Hz 2kVA
7.監視装置 ITVシステム(カラー)光学18倍ズーム付3台
地下ピット対向機監視用カメラ光学18倍ズーム付 1台
8.その他設備

イミュニティ試験室
被測定機器冷却用給排水設備:ターンテーブル地下ピット内に設置
会議室 2部屋
荷役設備:チェーンブロック(1トン)
ハンドリフター(0.5トン)

9.サービス内容

・CEマーキングへの対応支援
・CISPR,VCCI,FCCなど各種規格の認証取得代行
・各国の規格適合のための対策支援
・輸出先国の規格調査,コンサルティング
・サイト試験,出張試験

 
電波暗室に関するお問い合せ先

お問い合わせ先

三菱電機エンジニアリング株式会社 EMC東日本センター
電話 (0467)41-3920
住所 〒247-0065 鎌倉市上町屋325番地
 
用語解説
 
用語

解説

※1 
「EMC」
Electromagnetic Compatibility:電磁環境適合性。機器自身から発生する電磁波が他の機器に妨害を与える「電磁波妨害抑制」と,外部からの様々な妨害電磁波に対する「電磁波耐性」の2つの要求事項を満足させること。
※2
「3mおよび10m」
製品のカテゴリーや規格ごと(欧州規格,米国規格など)に測定距離の要求が異なるが,工業環境で使用する機械は10m法で測定するのが主流である。
※3
「VCCI規制」
電磁波妨害に対する業界団体〔情報処理装置等電波障害自主規制協議会(日本)〕の自主規制。
VCCI:Voluntary Control Council for Interference by Information Technology Equipment
※4
「全国4センター」

「EMC東日本センター」(神奈川県鎌倉市)
10m法対応電波暗室2基(今回1基竣工),3m法対応電波暗室2基,小型電波暗室1基, シールドルーム1基,イミュニティ試験室2基(今回1基竣工),静電気試験室

「EMC西日本センター」(広島県福山市)
10m法対応電波暗室1基,10m/3m法対応オープンサイト1基, 3m法対応電波暗室1基,小型電波暗室1基,シールドルーム1基

「EMC中日本センター」(愛知県名古屋市)
3m法対応電波暗室1基

「EMC九州センター」(長崎県時津町)
10m/3m法対応オープンサイト1基,3m法対応電波暗室1基

※5
「CEマーキング」

欧州市場へ流通させる製品は,欧州連合(EU)において適用される法的規制(EU指令)の全てに適合させることが要求される。それらの指令に適合していることを宣言するための表示が「CEマーキング」である。EU加盟国が輸入する場合,通関時にCEマーキングをチェックするため,CEマーキングのない製品は原則として通関することができない。

※6
 アイナルテ
「iNARTE認定」

International Association for Radio,Telecommunication and Electromagnetics Inc.(無線・通信およびEMCに関する国際協会(米国))が認定する,現在のところ世界で唯一のEMC技術者の認定制度。

※7
 シスプル
「CISPR」

国際無線障害特別委員会(IEC:International Electrotechnical Commission (国際電気標準会議)の特別委員会)。フランス語でComite' international spe'cial des perturbations radioe'lectriquesの略称 英語ではInternational Special Committee on Radio Interference

※8
「FCC」

連邦通信委員会(米国)。FCC: Federal Communications Commission

※9
「欧州有資格機関(NB)」

Notified Body。欧州委員会が認定した機関で,EMC指令に関しては,適合性について意見書を発行することができる。

 
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