プレスリリース

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2022年5月23日

移動計測によりリアルタイムで自己位置推定と3D環境地図作成を実現

モバイル3Dスキャナ「Field LiDAR®」を開発

 三菱電機エンジニアリング株式会社(本社:東京都千代田区、社長: 永友 秀明)は、SLAM技術※1を活用し、移動計測※2により自己位置推定と3D環境地図作成を同時に実現するモバイル3Dスキャナ「Field LiDAR(フィールドライダー)」を開発しました。
 当技術は、高感度カメラを搭載し、薄暗闇でもリアルタイムでカラー点群データ生成が可能です。
 また、高精度IMU※3やRTK-GNSS※4レシーバ搭載により、高い計測安定性を確保しました。
 これにより、移動しながら計測するだけで広範囲かつリアルタイムに点群データを取得できるため、自然災害の被害状況を把握する災害査定や、工事現場の土量、出来形計測、森林管理やインフラ点検など、速やかな状況把握による作業効率化を支援します。

  • ※1 Simultaneous Localization and Mapping:自己位置推定とマッピングを同時に行う技術
  • ※2 計測範囲は半径100m以内。計測時間は10分間以内。移動速度は歩行速度相当の時速4㎞以内
  • ※3 3軸の角速度と加速度を計測するセンサー
  • ※4 RTK-GNSSとは基準局の補正データを使用し、より高精度に位置情報を取得する衛星利用技術

「Field LiDAR」「計測例」

開発の特長

  1. 1.SLAM技術とセンサフュージョンにより、高精度な自己位置推定と3D環境地図生成を実現
    • ・移動計測することで、高精度な自己位置推定と広範囲の3D環境地図生成を容易に実現
    • ・本体内蔵の高精度IMUやRTK-GNSSなど複数のセンサーを融合したセンサフュージョンにより、計測の安定性や精度(±50mm目標)を向上
    • ・GNSSを受信出来ない場所でも、SLAM技術により3D環境地図の生成が可能
  2. 2.リアルタイム計測処理により、計測作業を効率化
    • ・RTK-GNSS連携により、複雑な計算を必要とする座標変換などを本体でリアルタイム処理を実現※5
    • ・手間のかかる標定点設置や測量等の事前作業、座標変換等の後作業が不要となり作業を効率化
      ※5 GNSS補正信号サービス等との連携が必要
  3. 3.分かりやすい情報提供により、現場の状況把握の効率化を支援
    • ・高感度カメラとの連携によるリアルタイム処理を行うことで、計測後すぐに高密度な3D点群ビューア等で自然災害の被害状況等の状況把握が可能。現場確認作業の効率化を支援

開発の概要

開発品名 主な機能 主な仕様
Field LiDAR ・SLAM技術によるリアルタイム3D 環境地図生成
・IMU/GNSSセンサフュージョンによる計測安定性向上
・高感度カメラ連携によるカラー点群データ生成
・RTK-GNSS連携によるリアルタイム座標変換
外形寸法:187×238×178㎜
質量:約2.5kg
測定範囲:半径100m
測定時間:10分間以内

開発のねらい

 近年、自然災害の多発による被害現場の迅速な状況把握や災害査定をはじめ、労働力不足による土木工事や森林管理やインフラ点検などの作業効率化が求められています。
 当社は、高感度カメラや3Dレーザスキャナ関連の製品開発・販売を行っており、公共施設などの幅広い分野で採用されています。
 今回、これまで培った技術を集約し、移動計測するだけで容易に自己位置推定と3D環境地図作成を同時に実現する、モバイル3Dスキャナ「Field LiDAR」を開発しました。これにより、速やかな状況把握による作業効率化を支援します。

今後の展開

 長距離計測、高精度化、高密度化等に向けた開発を継続すると共に、2022年9月頃までに実用化を目指します。

3D点群ビューア表示

 「Field LiDAR」によって、高密度にカラー点群データが取得できます。

「計測例:3D点群ビューア表示(河川堤防)」「計測例:3D点群ビューア表(橋脚)」

「SLAM技術」について

 LiDAR SLAM技術の原理(下図参照)は、LiDARを持って実線から点線に移動しながら周囲の環境をセンシングし、周囲の環境における多数のランドマーク(特徴点)を抽出します。さらに、時間経過した移動箇所からのランドマークとの変移により自己位置を推定し、その情報に基づき3D環境地図の生成を同時に実行します。

「SLAM技術の概念図」

商標関連

 Field LiDARは三菱電機エンジニアリング株式会社の登録商標です。

特許関連

多数出願中です。

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